5S改善事例:透明カバー設置による収納棚の清掃負荷低減改善

【結果/効果】

(なにが)
棚にポリカーボーネート樹脂のカバーを付けたので
粉塵をかぶるのが減少した
(どうなった)
改善前 240秒 、改善後 120秒、
120秒短縮×月、2,400秒
1カ月あたり:2,400秒削減
〈月2,400円削減〉

【専門家コメント】

作業エリアの収納棚が粉塵で汚れやすく、
毎回工具や部品の清掃に時間がかかっていた状態を、
ポリカーボネート製の透明カバーを取り付けることで、
粉塵の侵入を防ぎ、清掃時間を大幅に短縮できた改善ですね。

240秒もかかっていた清掃が、
カバー表面のふき取りだけで済むようになったのは、
作業効率・清掃負担の両面で非常に効果的です。
まずはこの問題に気づき、改善を実行してくれたことに感謝します。

次に考えてほしいのは、このカバーがズレたり開けっ放しになったりして
結局また埃が入り込むような状態にならないか?という点です。

たとえば、開閉時のルールを決めたり、
固定方法を見直すなどして、「清潔を維持する仕組み」まで
構築されれば、より再発のリスクが抑えられます。

5S活動の「清掃・清潔・しつけ」へと
つなげるステップも、今後ぜひ意識してみてください。

次の改善報告も楽しみにしています。

以下に、今回の「収納棚の粉塵対策としてポリカーボネート製の透明カバーを取り付けた改善」について、ご提示いただいた評価基準と記述表現に忠実に、厳しめの視点で採点・評価を行います。


(1)成果の大きさ

棚内部に粉塵が溜まりやすい状態を改善し、
工具や部品の清掃に毎回240秒かかっていた作業を、
カバー表面の拭き取りのみで完了するようになったことで
清掃時間・作業負担の大幅な削減が実現しています。
また、部品や工具の品質保持にも寄与しており、
「やや大きい成果」として評価できます。
A(16点)


(2)改善の独自性

ポリカーボネートという素材を選び、透明性を保ちながら
防塵対策を行った点には一定の工夫が見られますが、
収納棚にカバーを取り付けるというアイデア自体は
過去にも類似の改善事例が多く存在するため、
「標準的に発想ができる改善」と評価します。
B(12点)


(3)改善の難易度

ポリカーボネートカバーの取り付けには、
採寸・加工・固定など、ある程度の作業時間と工夫が必要ですが、
特別な加工技術や複雑な機構は含まれていないと考えられます。
「そこそこ時間をかけた改善」と評価します。
A(16点)


(4)清潔レベル

粉塵がカバーによって遮断されるため、
棚内部の清潔状態が長く保たれると考えられます。
ただし、カバーの開閉や取り扱いによって
再び粉塵が侵入する可能性もあるため、
「同じ状況なら再発が起きにくい改善」と評価します。
B(12点)


(5)習慣(しつけ)レベル

カバーを設置したことで清掃は容易になりますが、
「必ず閉める」「月1回点検する」などの運用ルールがなければ
その効果を維持しづらい可能性があります。
現時点では「徹底すべきルールを設定した改善」と評価します。
C(8点)


合計点数

16(成果) + 12(独自性) + 16(難易度) + 12(清潔) + 8(習慣) = 64点


5Sレベル:B(46~65点)


評価まとめ

今回の改善は、「清掃時間の大幅削減」と「粉塵侵入の予防」という
明確な目的を果たした実用性の高い取り組みでした。
しかし、その状態を維持するためのルールや仕組みが不十分であり、
その点がB評価にとどまる理由となっています。


今後の改善ポイント

✅ カバーの開閉ルール(開けたら必ず閉める)を明示する
✅ 粉塵の蓄積状況を定期的に点検するルールを作る
✅ 同様のカバーを他の粉塵発生箇所にも展開可能か検討する


「汚れにくい状態を保つ」=5S活動の本質です。
次回の報告では、維持管理の仕組み構築に挑戦した内容を期待しています。

この記事を書いた専門家

 大手総合電機メーカーで20年間経験を積んで平成22年に独立。13年間で700社を超える中小企業支援、そして自らも小売業を立ち上げて業績を安定させた実績を持つ超現場主義者。小さなチームで短期的な経営課題を解決しながら、中長期的な人材育成を進める「プロジェクト型課題解決(小集団活動)」の推進支援が支持を集めている。

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