5S改善事例:配線クリップ固定による作業性・安全性向上

【結果/効果】

(なにが)
作業がしやすくなり断線の危険も無くなった
(どうなった)
1回2秒  月300台×2秒
月 600円
年 7,200円の削減

【専門家コメント】

電気配線が露出し絡まっていたことで
作業効率が落ち、断線の危険性もあった状態を、
クリップマグネットでまとめて固定することで
スッキリと安全な状態に改善された取組ですね!

このような「見えにくいけれど重要な危険」を
しっかり捉えて改善してくれた点、
本当に素晴らしい視点だと思います。ありがとうございます。

さて次に考えてほしいのは、
「この固定が長期間維持されるか?」という点です。

マグネットは便利ですが、ズレたり外れたりする可能性もあり、
配線が再び乱れるリスクもあります。

たとえば「固定位置をラベルで明示する」
「月1回の配線チェックを標準作業に加える」など、
清掃・清潔レベルの仕組みを取り入れることで
再発防止の効果がさらに高まると思います。

次回の報告では、こうしたルール作りにも
踏み込んだ内容を期待しています!

以下に、今回の「電気配線をクリップマグネットで固定する改善」について、前回ご提示いただいた評価表現に忠実に、厳しめの視点で採点・評価を行います。


(1)成果の大きさ

露出した電気配線をまとめて固定することで、
作業効率の向上と断線リスクの低減につながっています。
特に、配線が絡まることで発生していた作業のムダや、
断線によるトラブルの予防は、
安全性・効率性の両面から一定の効果があります。
ただし、影響範囲は特定の機械に限定されており、
生産性やコスト全体への影響は限定的なため、
「満足のいく成果である改善」と評価します。
B(12点)


(2)改善の独自性

クリップマグネットを用いて配線をまとめるという発想は
現場で比較的よく用いられる手法であり、
特別な工夫や発想の難しさは少ないと言えます。
また、配線整理は他の多くの改善事例でも見られるため、
「よく似たタイプが多い改善」と評価します。
C(8点)


(3)改善の難易度

配線をまとめ、マグネットで機械に固定する作業は、
特別な工具や加工を必要とせず、
15〜30分程度で対応できる内容と考えられます。
よって、「標準的な時間でできた改善」と評価します。
B(12点)


(4)清潔レベル

一時的には配線が整然とし、良い状態を保てますが、
マグネットがズレたり、配線が追加された際に
再び乱れる可能性があります。
「何かのきっかけで再発する改善」と評価します。
C(8点)


(5)習慣(しつけ)レベル

配線を元に戻すルールや点検の仕組みが明示されておらず、
時間が経つと徐々に元の状態に戻るリスクがあるため、
「徹底すべきルールを設定した改善」と評価します。
C(8点)


合計点数

12(成果) + 8(独自性) + 12(難易度) + 8(清潔) + 8(習慣) = 48点


5Sレベル:B(46~65点)


評価まとめ

今回の改善は「作業のしやすさ・安全性の向上には貢献している」が、
維持管理の仕組みや独自性という面では伸びしろのある内容です。
定期点検のルールや、配線追加時の管理方法まで踏み込めば
次回はより高い評価が期待できます。


今後の改善ポイント

✅ 配線の固定位置をテープやラベルで明示する
✅ 配線点検の定期チェック項目を標準作業に組み込む
✅ マグネットがズレた場合の対処ルールを作成する


今後も「小さな気づきから、再発しない仕組みへ」
ステップアップしていく改善を楽しみにしています。

この記事を書いた専門家

 大手総合電機メーカーで20年間経験を積んで平成22年に独立。13年間で700社を超える中小企業支援、そして自らも小売業を立ち上げて業績を安定させた実績を持つ超現場主義者。小さなチームで短期的な経営課題を解決しながら、中長期的な人材育成を進める「プロジェクト型課題解決(小集団活動)」の推進支援が支持を集めている。

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