5S改善事例:マクラ位置決め穴加工による段取り時間短縮

【結果/効果】

(なにが)
マクラに固定用の穴を明けたので材料を固定
する時間が。
(どうなった)
1日平均で10秒短縮×20日
(1カ月20日稼働で試算してください)
1カ月あたり:200秒削減
200円/月の削減

【専門家コメント】

ラジアルボール盤での加工時に、
毎回クランプで材料を固定していた手間を、
マクラ(台座)にあらかじめ穴を設けておくことで
材料を差し込むだけで位置決めができるようにした改善ですね。

クランプ作業が不要になったことで、
作業時間の短縮だけでなく、段取りミスや締め付け不良による
品質リスクの低減にもつながる素晴らしい改善です。
まずはこの工夫に気づき、実行してくれたことに感謝します。

次に考えてほしいのは、この位置決め方法が
他の材料にも汎用的に使えるのか?あるいは
固定穴が摩耗した場合の対処法はあるか?といった
「運用の安定性・再発防止策」の視点です。

5S活動では、“使いやすさ”に加えて
“乱れない仕組みづくり”まで踏み込むことが
重要なポイントになります。

この高レベルな改善をきっかけに、ぜひさらに一歩進んだ
工夫や標準化にも取り組んでみてください!

次なる改善報告も、楽しみにしています。

以下に、今回の「ラジアルボール盤のマクラ(台座)に固定用の穴を加工し、材料差し込みによる位置決めを可能にした改善」について、ご提示いただいた評価基準と評価表現に忠実に、厳しめの視点で評価を行います。


(1)成果の大きさ

クランプによる材料固定作業を不要にし、
段取り時間の短縮と作業効率向上を実現した点は
非常に効果的です。
特に、作業の簡略化による品質安定やミス防止、
作業者の負担軽減にも貢献しており、
「成果がやや大きい改善」と評価します。
A(16点)


(2)改善の独自性

マクラに固定用の穴を設けることで、
位置決めと固定を兼ねるという発想には
一定の工夫と発想力が感じられます。
ただし、治具や位置決めピンを使った改善は
類似事例も多く、特別に困難な発想とは言い切れません。
そのため「やや発想が困難な改善」と評価します。
A(16点)


(3)改善の難易度

マクラへの穴加工には、加工機の使用や精度確保が必要であり、
準備・段取り・試作も含めてある程度の時間を要したと考えられます。
標準的な改善よりは難易度が高く、
「そこそこ時間をかけた改善」と評価します。
A(16点)


(4)清潔レベル

一度設定した固定穴が機能し続ける限り、
作業手順に乱れが生じにくく、
クランプ忘れなどの人的ミスも回避されます。
ただし、摩耗や形状変化による不具合が出る可能性を考慮すると、
「同じ状況なら再発が起きにくい改善」と評価します。
B(12点)


(5)習慣(しつけ)レベル

この改善により、作業者ごとのばらつきが減り、
手順が標準化される方向には進んでいますが、
使用上の注意点や定期点検のルールがなければ
長期的な運用維持に不安が残ります。
そのため「皆が守るべき標準化まで進めた改善」と評価します。
B(12点)


合計点数

16(成果) + 16(独自性) + 16(難易度) + 12(清潔) + 12(習慣) = 72点


5Sレベル:A(66~80点)


評価まとめ

今回の改善は、「作業効率と品質安定の両立」を実現した
非常に優れた工夫でした。
特に、段取り作業における**“ムダの削減とバラつきの排除”**という
5Sの目的にしっかり合致しており、高く評価されます。
今後は「摩耗時の対応」や「他製品への応用展開」など、
仕組みの維持・展開も視野に入れていけると
さらに上のレベルが狙えるでしょう。


今後の改善ポイント

✅ 固定穴の点検・メンテナンス基準の作成
✅ 同様の仕組みを他の加工品にも展開可能か検討
✅ 加工後の寸法検証記録による精度管理の仕組み導入


非常にレベルの高い改善でした。
今後のさらなる工夫や横展開も、楽しみにしています。

この記事を書いた専門家

 大手総合電機メーカーで20年間経験を積んで平成22年に独立。13年間で700社を超える中小企業支援、そして自らも小売業を立ち上げて業績を安定させた実績を持つ超現場主義者。小さなチームで短期的な経営課題を解決しながら、中長期的な人材育成を進める「プロジェクト型課題解決(小集団活動)」の推進支援が支持を集めている。

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