5S改善事例:印鑑整列化による業務効率向上

【結果/効果】

(なにが)
手間取る時間がなくなった。
(どうなった)
8秒/日X20=160秒
1か月160秒短縮

【専門家コメント】

ハンコが無造作に重なり、
探すたびに一つずつ確認する必要があった状態を、
印鑑ごとにラベルを貼り、整然と並べて収納することで
必要なものが一目で分かるようにした改善ですね。

日常的に何度も使う物だからこそ、
このような「探すムダ」をなくす工夫は
業務効率に直結する非常に有効な改善です。
まずはこの不便さに気づき、
実行に移してくれたことに感謝します。

今後のステップとして考えてほしいのは、
この整然とした状態が乱れずに維持される仕組み
あるかどうかという点です。

例えば、定位置に印鑑の名前を表示したり、
「使ったら戻す」ルールを見える化したりすることで、
誰でも同じように使える状態を保てるようになります。

5Sでは「整頓」した後に、「清潔・しつけ」で
その状態を守り続ける工夫が重要です。
次の改善では、そのあたりまで進めた取組みを期待しています!

今後の改善報告も楽しみにしています。

以下に、今回の「無造作に収納されていた印鑑にラベルを表示し、整然と並べて収納した改善」について、ご提示いただいた評価基準と記述表現に忠実に、厳しめの視点で採点・評価を行います。


(1)成果の大きさ

重なって収納されていた印鑑を整然と並べ、
ラベル表示を行うことで、探す手間をなくし
業務の効率化につなげた点は評価できます。
ただし、改善の対象範囲は印鑑管理に限定され、
全体的な生産性やコスト削減への影響は小さいため、
「満足のいく成果である改善」と評価します。
B(12点)


(2)改善の独自性

印鑑ごとにラベルを貼って見えるように並べるという方法は、
整頓の基本に該当するものであり、
特別な工夫や発想の難しさは見られません。
多くの類似改善が存在することから、
「誰でも思いつく改善」と評価します。
D(4点)


(3)改善の難易度

印鑑のラベルを作成し、配置を整える作業には
ほとんど時間がかからず、特別な技術も必要としないため、
「数分でできた改善」と評価します。
D(4点)


(4)清潔レベル

一度整頓した状態も、使った後に戻さないなどの行動で
再び乱雑になる可能性があります。
定位置が決まっていても運用が徹底されなければ
再発リスクがあるため、
「何かのきっかけで再発する改善」と評価します。
C(8点)


(5)習慣(しつけ)レベル

ラベル貼付と整頓だけでは、
使用後に必ず元に戻す習慣づけが難しく、
誰でも維持できる仕組みまでは構築されていません。
そのため「徹底すべきルールを設定した改善」と評価します。
C(8点)


合計点数

12(成果) + 4(独自性) + 4(難易度) + 8(清潔) + 8(習慣) = 36点


5Sレベル:C(31~45点)


評価まとめ

今回の改善は、日常の小さな“探すムダ”に気づき
誰でもわかりやすく使える整頓に改善した点で
非常に良いスタートの取り組みでした。
ただし、維持管理の仕組みや標準化まで踏み込めていない点
C評価に留まる理由となりました。


今後の改善ポイント

✅ 各印鑑の定位置に名前やシルエット表示をする
✅ 「使用後は必ず戻す」運用ルールを明文化・掲示する
✅ 定期的な整頓チェックを行う仕組みを導入する


この改善をきっかけに、5Sの「整頓」から「清潔・しつけ」へと
さらに発展させた改善活動を期待しています。
次回の改善報告も楽しみにしています。

この記事を書いた専門家

 大手総合電機メーカーで20年間経験を積んで平成22年に独立。13年間で700社を超える中小企業支援、そして自らも小売業を立ち上げて業績を安定させた実績を持つ超現場主義者。小さなチームで短期的な経営課題を解決しながら、中長期的な人材育成を進める「プロジェクト型課題解決(小集団活動)」の推進支援が支持を集めている。

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