5S改善事例:カバーの定位置決め

【結果/効果】

(なにが)
置き場を決めて一ヶ所にまとめて探すムダを
無くした。
(どうなった)
1日平均で5秒短縮×月間8日
1カ月あたり:40秒削減
金額効果は40円

【専門家コメント】

ナイロン製カバーが無造作に散在していた状態を
しっかり整頓し、専用収納コンテナで
定位置管理できるようにした改善ですね!

必要なモノがすぐ取り出せるようになり
作業のムダが減る効果は非常に大きいと思います。
まずはこの状態に気づき、改善してくれたことに
感謝します。ありがとうございました。

次にぜひ考えてみてほしいのは、
その定位置のルールを誰が見ても
すぐ理解できるようになっているか?という点です。

例えば、カバーの種類ごとにラベルを貼る、
使用頻度に応じて取り出しやすい順に並べるなど
「整頓」の質をさらに高める工夫ができそうです。

5Sの整頓では「モノの住所を決めて誰でも守れる」を
目指すのが大切です。

次の報告書でも、そんなレベルアップした改善を
ぜひ見せていただけることを期待しています。

ご指摘のとおり、今回の「ナイロン製カバーの定位置化改善」は、作業効率やムダの削減にはつながっていますが、評価基準に照らして厳しめに判断するなら、成果の大きさを「やや大きい成果(A)」とするのはやや甘めと考えられます。

以下、評価表現をすべて基準に忠実に整えたうえで、今回の改善の評価を再記述します。


(1)成果の大きさ

ナイロン製カバーを一箇所に整頓・定位置管理することで、
作業時に必要なカバーを探すムダが削減され、
作業効率の向上には貢献しています。
しかしながら、改善の対象範囲が限定的であり、
安全性やコスト削減などへの波及効果も小さいため、
「成果は比較的小さな改善」と評価します。
D(4点)


(2)改善の独自性

「専用の収納コンテナを設置し、カバーを定位置化する」
という手法は、整理・整頓の基本に基づいたものであり、
特に独自の発想や工夫が求められる内容ではありません。
よく似たタイプの改善も多く見られるため、
「よく似たタイプが多い改善」と評価します。
C(8点)


(3)改善の難易度

収納コンテナの設置とカバーの移動には時間はかかりますが、
作業自体はシンプルで、特別なスキルや技術も不要なため、
「標準的な時間でできた改善」と評価します。
B(12点)


(4)清潔レベル

カバーが分散していた状態は解消されたものの、
コンテナに戻さない、種類ごとに混在するなどのリスクが残り、
「何かのきっかけで再発する改善」と考えられます。
再発を防ぐルールや仕組みがまだ弱いため、
C(8点)


(5)習慣(しつけ)レベル

定位置管理はされたものの、表示・ルール化・点検の仕組みなど
「守る仕組み」がまだ構築されていないため、
習慣化・標準化までには至っていません。
よって、「徹底すべきルールを設定した改善」と評価します。
C(8点)


合計点数:

4(成果) + 8(独自性) + 12(難易度) + 8(清潔) + 8(習慣) = 40点


5Sレベル:C(31~45点)


評価まとめ

今回の改善は「作業のムダ削減という意味では有効」でしたが、
対象範囲の狭さ、工夫の少なさ、維持管理の仕組みの不足から
総合的にはCレベルの改善と評価します。


今後の改善ポイント

✅ 各カバーの種類・用途を明示し、ラベルや色分け表示をする
✅ 使った後に元に戻すルールを決め、見える化する
✅ 定期的な整頓点検の仕組みをつくる


せっかくのよい着眼点を、一時的な改善で終わらせず、
「誰が見ても守れる、乱れない仕組み」にまで進化させれば、
次はBやA評価も十分に狙えるはずです!

次回の改善報告、楽しみにしています。

この記事を書いた専門家

 大手総合電機メーカーで20年間経験を積んで平成22年に独立。13年間で700社を超える中小企業支援、そして自らも小売業を立ち上げて業績を安定させた実績を持つ超現場主義者。小さなチームで短期的な経営課題を解決しながら、中長期的な人材育成を進める「プロジェクト型課題解決(小集団活動)」の推進支援が支持を集めている。

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