5S改善事例:油の移し替えの移動距離短縮

【ビフォー】

【アフター】

【結果/効果】

(なにが)
段取りをスムーズに行うため
(どうなった)
40歩が0歩に!
日 40歩×5回=200歩
月 200歩×10回=2000歩
1カ月あたり:2000円削減

【専門家コメント】

改善前はハンドスプレーの補充のたびに
往復40歩も移動していた状態から、
事前に油を準備する工夫によって
移動距離を0歩にした改善ですね。

移動が減ることで作業効率が高まり、
作業者の負担も軽くなる素晴らしい改善です。
気づきと実行に感謝します、ありがとうございました。

さて次に考えてもらいたいのは、
この事前準備を「誰がいつやるのか」
というルールを明確にできるか?という点です。

・当番制にする
・作業開始前に必ず準備する
・準備した状態を写真で掲示する など

ルール化と見える化ができれば、
どんな人が作業しても安定した
効率の良い状態を維持できます。

この一歩先の“清潔”レベルへの改善に、
ぜひチャレンジしてみてください。

あなたの次なる改善報告を
楽しみに待っています。

目次

5S改善評価

(1)成果の大きさ:A(16点)

理由:
往復40歩の移動をなくしたことで、作業効率が向上し、作業者の負担も軽減されています。時間のムダが減るだけでなく、「補充しないといけない」という心理的負担も軽減された点で、実用性の高い成果といえます。A評価とします。


(2)改善の独自性:B(12点)

理由:
「事前に準備する」という発想自体は一般的ですが、“移動距離”という数字でムダに気づき、それをゼロにした”という行動力が評価ポイントです。発想は標準的でも、実行された現場対応としての工夫に価値があります。B評価が妥当です。


(3)改善の難易度:C(8点)

理由:
今回の改善は準備物をあらかじめ近くに置くだけの対応と考えられ、作業自体は5~15分以内の範囲で完了可能と思われます。そのため、改善実施にかかる労力の観点からC評価です。


(4)清潔レベル:C(8点)

理由:
油の事前準備によって、補充中にこぼれる、あふれる、容器が汚れるといった問題を減らす効果はありますが、まだ「状態を維持する仕組み(点検や補充ルール)」が見えないため、再発防止策としてはやや不十分と評価します。改善の効果を継続させるための清掃・点検ルールの導入でB評価に届きます。


(5)習慣レベル:D(4点)

理由:
今回の改善は個人の気づきによるものであり、「誰が、いつ準備するか」「どうやって維持するか」というルール化がまだされていないと推察されます。このままでは属人的な改善で終わってしまうため、当番制・写真表示・標準化シートなどの導入で評価向上が可能です。


🧾 総合評価

  • 合計点数:48点
  • 5Sレベル:B

今回の改善の区分

  • ①改善の種類: 整頓
  • ②改善場所: 工場
  • ③改善対象: 工具/備品(潤滑剤・スプレー)

🔍 アドバイス:
この改善は、移動という目に見えるムダを“数字(歩数)”で捉え、それをゼロにしたという点で非常に明確かつ有効です。次のステップとしては、以下のような仕組みづくりをおすすめします:

  • 「誰が準備するのか」を当番制 or 作業手順に組み込む
  • 準備が完了している状態を写真で見える化
  • 油の補充チェックリストの導入
  • ラベルや定位置管理で、他の人も使いやすく整頓

こうした「清潔」「しつけ」の視点を加えることで、5SレベルA〜Sへのステップアップも十分に可能です。

次回の改善報告も心よりお待ちしています。

この記事を書いた専門家

 大手総合電機メーカーで20年間経験を積んで平成22年に独立。13年間で700社を超える中小企業支援、そして自らも小売業を立ち上げて業績を安定させた実績を持つ超現場主義者。小さなチームで短期的な経営課題を解決しながら、中長期的な人材育成を進める「プロジェクト型課題解決(小集団活動)」の推進支援が支持を集めている。

目次