5S改善事例:2F台車の保管場所の固定

【結果/効果】

(なにが)
移動のムダとスペースのムダ
(どうなった)
1日180秒短縮×月間の発生日数20日
1カ月あたり:3600秒削減
1か月あたりの金額効果3600円

【専門家コメント】

2階で使用されていた台車が、通路や壁際に無秩序に置かれていたため、
使用時に「探す」「移動させる」といったムダが発生していた状態を、
壁際に台車専用の定位置スペースをラインテープで明示することで、
誰が見ても台車の保管場所が分かるようにし、
探す時間と通路確保の手間をなくした改善ですね。

この改善により、整頓の基本である「定位置・定品」が実現され、
作業効率と安全性が同時に向上
する非常に効果的な取り組みとなりました。
まずはこの見えにくいムダに気づき、行動してくれたことに感謝します。

次のステップとしては、
・定位置の場所に「台車専用」などの表示を加える
・定期的に定位置からはみ出していないか確認する仕組みを作る
といった清潔・しつけレベルの維持策に取り組めるとさらに良くなります。

5S活動では、「整頓して終わり」ではなく、
その状態を維持するための仕組みづくりが大切です
この改善をきっかけに、さらに高いレベルの改善へと発展させてください。

次回の改善報告も楽しみにしています。

以下に、今回の「台車の保管場所をラインテープで区画し、定位置化した改善」について、ご提示いただいた評価基準と記述表現に忠実に、厳しめの視点で評価いたします。


(1)成果の大きさ

通路や壁際に無秩序に置かれていた台車を定位置化し、
「探す手間」や「通路確保のための移動作業」といった
ムダな動作を排除した点は明確な成果です。
また、通行の安全確保にもつながる改善といえます。
ただし、対象は台車の管理に限定されており、
工場全体の生産性や品質に直結する内容ではないため、
「満足のいく成果である改善」と評価します。
B(12点)


(2)改善の独自性

ラインテープによって定位置を明示するという方法は、
整頓活動において非常に一般的であり、
5S活動の基本手法の一つです。
特別な発想や複雑な工夫は求められないため、
「誰でも思いつく改善」と評価します。
D(4点)


(3)改善の難易度

改善に必要な作業は、床面の清掃とラインテープの貼り付けが中心であり、
作業時間も短く、特別な技能や工具は不要です。
D(4点)


(4)清潔レベル

定位置の明示により、物が乱れにくい状態が作られたことは
清潔(=乱れない仕組み)に近づいていますが、
時間が経つとテープが剥がれたり、他の物が置かれる可能性もあるため、
「何かのきっかけで再発する改善」と評価します。
C(8点)


(5)習慣(しつけ)レベル

「台車を使ったら元の位置に戻す」というルールを徹底するには、
視覚的表示だけでなく、ルールの周知や確認が必要です。
表示や運用ルールが徹底されていなければ、
「徹底すべきルールを設定した改善」と評価します。
C(8点)


合計点数

12(成果) + 4(独自性) + 4(難易度) + 8(清潔) + 8(習慣) = 36点


5Sレベル:C(31~45点)


評価まとめ

今回の改善は、「探すムダ」「通路をふさぐムダ」を解消した、
非常に基本に忠実で効果のある整頓改善でした。
ただし、誰でも実施できる簡易な内容であること、維持管理のルールが不明確であることが、評価を抑える要因となっています。


今後の改善ポイント

✅ 区画内に「台車専用」などの表示を追加する
✅ 戻し忘れや乱れがないかをチェックするルールを導入する
✅ 他の共用備品にも同様の整頓方法を展開する


整頓の基本が現場に根づくことは、5Sの土台づくりです。
次回の報告では、維持する仕組みやルールまで踏み込んだ改善を期待しています。

この記事を書いた専門家

 大手総合電機メーカーで20年間経験を積んで平成22年に独立。13年間で700社を超える中小企業支援、そして自らも小売業を立ち上げて業績を安定させた実績を持つ超現場主義者。小さなチームで短期的な経営課題を解決しながら、中長期的な人材育成を進める「プロジェクト型課題解決(小集団活動)」の推進支援が支持を集めている。

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