5S改善事例:見本を見やすく、作業をスムーズに

【結果/効果】

(なにが)
手の移動距離短縮
(どうなった)
50㎝が20㎝になった。
一日2回 60㎝距離が短縮

【専門家コメント】

見本が作業台の下に置かれており
確認の際にしゃがんで取り出す必要があったのを、
見本を作業台の横の見やすい位置に移動し、
立ったまま確認できるようにすることで、
手の移動距離が30cmほど短縮されると同時に、
しゃがむ動作を不要にすることにより
作業者の身体的負担も軽減した改善ですね!

小さな動作の改善ですが、積み重ねることで
作業効率の向上や疲労軽減につながります。
このような「作業しやすさ」に着目した視点は素晴らしいです!
ありがとうございました。

ただし、この改善にはまだ考えるべきポイントがあります。

例えば、

  • 見本の位置は、本当に最適か?
    → 他の作業の邪魔にならないか、もっと取りやすい方法はないか?
  • 見本が増えた場合の管理方法は?
    → 収納スペースが足りなくなったとき、どう対応するのか?
  • 見本が乱れたり、紛失しないようにする仕組みは?
    → 定位置管理(ラベルやシルエット表示)や、定期点検のルールが必要では?

「置き場所を変えただけ」で終わらせず、
「どうすれば長期間維持できるか」 を考えてみてください!

次の改善報告では、さらに一歩踏み込んだ工夫を期待しています!

目次

5Sレベルの評価

今回の改善を、5Sレベル評価でチェックしていきます。


(1)成果の大きさ

しゃがむ動作をなくし、手の移動距離を短縮したことで、
作業者の負担軽減や効率向上にはつながります。
しかし、影響範囲が限定的であり、生産性への劇的な変化は見込めません。
「成果がややもの足りない改善」と評価します。
C(8点)

(2)改善の独自性

作業しやすい位置に見本を移動するというのは、
整理・整頓の基本的な考え方に基づいた標準的な手法です。
特に斬新な工夫はなく、他の作業でもよく見られる改善のため、
「よく似たタイプが多い改善」と評価します。
C(8点)

(3)改善の難易度

見本の置き場所を変更するだけなので、
特別な技術も時間も必要ありません。
短時間でできるシンプルな改善のため、
「そんなに時間をかけない改善」と評価します。
C(8点)

(4)清潔レベル

見本の置き場所を変えただけでは、
時間が経つと元の場所に戻されたり、
別のものが置かれて乱れる可能性があります。
定位置を決める仕組みがなければ、
「何かのきっかけで再発する改善」と評価します。
C(8点)

(5)習慣(しつけ)レベル

見本を取りやすくする改善は良いですが、
「誰でも迷わず取り出せる仕組み」や
「元の状態を維持するルール作り」ができていないと、
そのうち改善の効果が薄れてしまいます。
長期的に維持する仕組みがないため、
「習慣化を促さない単発的な改善」と評価します。
D(4点)


合計点数:

8(成果) + 8(独自性) + 8(難易度) + 8(清潔) + 4(習慣) = 36点

5Sレベル:C(31~45点)

この改善は、「やればすぐできるが、長期的に維持されるか不透明な改善」 です。
作業のしやすさを向上させる良い視点はありますが、
「ただ場所を変えただけ」では、時間が経つと元に戻る可能性が高いです。

本当に意味のある改善にするためには、
見本の定位置を明確にし、誰でもすぐ分かるようにする(ラベルやシルエット表示)
見本が増えたときの管理ルールを決める(適切な収納スペースの確保)
定期的にチェックし、元の場所にあるか確認する仕組みを作る(点検表の導入)

こういった「維持と標準化」の仕組みがあれば、
BレベルやAレベルの改善へと引き上げることができます。

今回の改善を「一時的なもの」にせず、
「継続的に効果を発揮する仕組み」に発展させる工夫を期待しています!
次の改善報告を楽しみにしています。

この記事を書いた専門家

 大手総合電機メーカーで20年間経験を積んで平成22年に独立。13年間で700社を超える中小企業支援、そして自らも小売業を立ち上げて業績を安定させた実績を持つ超現場主義者。小さなチームで短期的な経営課題を解決しながら、中長期的な人材育成を進める「プロジェクト型課題解決(小集団活動)」の推進支援が支持を集めている。

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