5S改善事例:専用台車を作成、時間短縮

【結果/効果】

(なにが)
台車を探す必要が無い
(どうなった)
時間短縮 2分が0分になった

【専門家コメント】

部品付け作業以外でも使用される共用台車を使っていたため、
作業の度に適切な台車を探す時間が必要だったのを、
専用台車を作成して「部品付け専用」と明示することで、
台車を探す時間を不要としたと同時に、
作業に最適化された専用台車の導入により、
作業がスムーズに行えるようになった改善ですね!

台車を探す時間の削減はもちろん、
専用化することで作業効率も向上し、
よりスムーズな運用が可能になったのは大きなメリットです。
良い視点での改善、ありがとうございました!

しかし、この専用台車は今後も適切に運用できるでしょうか?

例えば、

  • 専用台車が他の作業に使われてしまうリスクはないか?
    → 「専用」と書いてあっても、勝手に使われる可能性は?
  • 台車の管理ルールは明確か?
    → 使用後の定位置は決まっているか? 他の台車と混ざらないか?
  • 増産やレイアウト変更があったとき、専用台車は問題なく運用できるか?
    → 作業環境が変わっても、引き続き有効に使えるか?

単に「専用」と書くだけでは、
時間が経つにつれて共用化されてしまう可能性があります。
「確実に専用として運用する仕組み」 を考えてみてください!

次の改善報告では、
「維持・標準化の工夫」 にも踏み込んだ取り組みを期待しています!

目次

5Sレベルの評価

今回の改善を、5Sレベルの評価でチェックしていきます。


(1)成果の大きさ

台車を探す手間をなくし、作業効率を向上させた点は評価できます。
また、専用化によって作業のスムーズさも増したため、
一定の効果が期待できます。
しかし、劇的な生産性向上やコスト削減には至らないため、
「やや大きい成果」と評価します。
A(16点)

(2)改善の独自性

「専用化することで管理を簡単にする」という発想は、
5Sの基本に沿った標準的な考え方であり、特に目新しさはありません。
類似の改善も多く、誰でも発想できる範囲のため、
「よく似たタイプが多い改善」と評価します。
C(8点)

(3)改善の難易度

専用台車の作成には多少の手間はかかりますが、
作業としては比較的シンプルで、短時間で実施可能です。
「標準的な時間でできた改善」と評価します。
B(12点)

(4)清潔レベル

「専用台車」と明示しただけでは、
時間が経つと共用化されてしまうリスクがあります。
適切な管理ルールや定位置管理がなければ、
「何かのきっかけで再発する改善」となりかねません。
C(8点)

(5)習慣(しつけ)レベル

専用台車を維持するための管理ルールが明確になっていなければ、
そのうち誰かが勝手に共用してしまう可能性があります。
「徹底すべきルールを設定した改善」に留まるため、
C(8点)


合計点数:

16(成果) + 8(独自性) + 12(難易度) + 8(清潔) + 8(習慣) = 52点

5Sレベル:B(46~65点)

この改善は、「効果はあるが、長期的な維持に課題がある改善」 です。
台車を探す時間を削減し、作業をスムーズにした点は評価できますが、
「専用」と書くだけでは、そのうち共用化されてしまうリスクが高い です。

今後の課題として考えるべきポイント
専用台車の定位置を決め、誰でも迷わず管理できるようにする(マーキング・標識の活用)
勝手に共用されないよう、ルールを明文化し、周知徹底する(使用ルールの掲示)
台車の定期点検を行い、専用台車としての運用が維持されているか確認する

せっかくの改善を「一時的なもの」で終わらせず、
「持続可能な仕組み」 に進化させていきましょう!

次の改善報告では、維持管理の仕組み にも踏み込んだ取り組みを期待しています!

この記事を書いた専門家

 大手総合電機メーカーで20年間経験を積んで平成22年に独立。13年間で700社を超える中小企業支援、そして自らも小売業を立ち上げて業績を安定させた実績を持つ超現場主義者。小さなチームで短期的な経営課題を解決しながら、中長期的な人材育成を進める「プロジェクト型課題解決(小集団活動)」の推進支援が支持を集めている。

目次