5S改善事例:ビニール袋レス化(ビニール袋入れの無駄取り)

【結果/効果】

(なにが)
ビニール袋に入れる無駄が
(どうなった)
1台当り40秒x2000台削減
80,000秒=80,000円の無駄取り

【専門家コメント】

各部品をビニール袋に個別に入れる必要があったのを、
シャーリング材を使用し、底に緩衝材を貼り付けることで、
ビニール袋なしでも製品を保護できるようにすると同時に、
環境負荷の低減にも貢献した改善ですね!

梱包の手間を削減し、作業効率を向上させるだけでなく、
ゴミの削減にもつながるという、
コスト面・環境面の両方で優れた改善です。
素晴らしい取り組みをありがとうございました!

しかし、この改善が今後も問題なく運用できるか? を考える必要があります。

例えば、

  • 緩衝材の耐久性は十分か?
    → 長期間の使用で摩耗や劣化が進んだ場合、交換基準は明確か?
  • 製品ごとに適切な保護ができているか?
    → すべての製品に適用できるのか、特定の製品には追加の工夫が必要か?
  • 作業者が従来のビニール袋梱包を続けてしまうリスクは?
    → 新しい梱包方法を徹底するためのルールや標準化はできているか?

せっかくの優れた改善も、
「維持・管理の仕組み」 がなければ、
元のやり方に戻るリスクがあります。

次回の改善報告では、
「この新しい方法を長期的に維持するための工夫」 にも踏み込んだ取り組みを期待しています!

目次

5Sレベルの評価

今回の改善を、5Sレベル評価でチェックしていきます。


(1)成果の大きさ

ビニール袋の使用を不要にし、作業効率を向上させると同時に、
環境負荷の低減にもつながる点は高く評価できます。
作業の手間削減だけでなく、コスト削減や廃棄物削減にも貢献しているため、
「成果がやや大きい改善」と評価します。
A(16点)

(2)改善の独自性

シャーリング材と緩衝材を組み合わせるという発想は、
工夫が見られるものの、梱包の簡略化や環境負荷低減の取り組みとしては、
他の改善事例でも見られる標準的な手法です。
「標準的に発想ができる改善」と評価します。
B(12点)

(3)改善の難易度

シャーリング材の使用や緩衝材の貼り付け作業は、
特別な技術を必要とせず、短時間で導入可能と考えられます。
また、製品ごとに適した設計が必要な場合があるため、
「標準的な時間でできた改善」と評価します。
B(12点)

(4)清潔レベル

緩衝材が劣化したり、汚れたりした場合、
保護機能が低下する可能性があります。
また、特定の製品には追加の工夫が必要な場合があり、
管理基準が不明確だと元のビニール梱包に戻る可能性があります。
「何かのきっかけで再発する改善」と評価します。
C(8点)

(5)習慣(しつけ)レベル

新しい梱包方法が確実に定着しなければ、
作業者によっては従来のビニール袋を使う習慣が続く可能性があります。
また、劣化した緩衝材を適切に交換するルールがなければ、
時間が経つにつれて機能が低下する恐れもあります。
「徹底すべきルールを設定した改善」と評価します。
C(8点)


合計点数:

16(成果) + 12(独自性) + 12(難易度) + 8(清潔) + 8(習慣) = 56点

5Sレベル:B(46~65点)

今回の改善は、「作業効率・環境負荷の両面で効果的だが、維持管理に課題がある改善」 です。
導入効果は高いものの、「長期的に維持する仕組みがなければ、元に戻るリスクがある」 ため、
さらなる対策が必要です。

今後の課題として考えるべきポイント
緩衝材の耐久性を確認し、交換基準を設定する
すべての製品に適用できるかを検証し、例外の管理ルールを決める
作業者が従来の梱包に戻らないよう、新しい方法を標準化し、教育を行う

「良い改善」から**「持続可能な改善」** に進化させることで、
さらに高いレベルの職場改善につなげていきましょう!

次の改善報告では、「維持管理の仕組み」 にも踏み込んだ取り組みを期待しています!

この記事を書いた専門家

 大手総合電機メーカーで20年間経験を積んで平成22年に独立。13年間で700社を超える中小企業支援、そして自らも小売業を立ち上げて業績を安定させた実績を持つ超現場主義者。小さなチームで短期的な経営課題を解決しながら、中長期的な人材育成を進める「プロジェクト型課題解決(小集団活動)」の推進支援が支持を集めている。

目次