5S改善事例:バイスのハンドルがつるつるで力が入らない事の改善

【結果/効果】

(なにが)
ハンドルに筋を入れる事で手で締め付けられるので
プライヤーを使用するムダがなくなった
(どうなった)
1日平均で140秒短縮×10日
(1カ月20日稼働で試算してください)
1カ月あたり:1,400秒削減
1,400円/月削減

【専門家コメント】

バイスのハンドルが滑って使いづらく、
わざわざプライヤーを使って締めていた状態から、
ハンドルに切り込み状の滑り止め加工を施すことで
手だけでしっかり締められるようにした改善ですね。

作業効率の向上はもちろんですが、
プライヤー使用による工具の傷みやケガのリスクも減らせる
安全面にもつながる非常に実用的な工夫です。
まずはこの不便さに気づき、改善してくれたことに感謝します。

次に考えてほしいのは、この滑り止め加工が
長期間にわたって効果を保てるか?という視点です。

たとえば、加工が摩耗した場合の再処置や、
他のバイスにも展開できるのか?など、
仕組みとしての再現性や標準化も重要になってきます。

5Sの「清潔・しつけ」レベルを意識しながら、
ぜひ次の改善にもつなげていってください!

あなたの次なる報告も楽しみにしています。


(1)成果の大きさ

滑るハンドルにより作業が進まず、
プライヤーで締め付けるという非効率な状態を解消し、
手だけで確実に締め付けできるようになったことで、
作業効率の向上と工具使用頻度の削減が実現できています。
また、ケガや工具破損のリスク低減にもつながる点も評価できますが、
影響範囲が一部作業者に限定されるため、
「満足のいく成果である改善」と評価します。
B(12点)


(2)改善の独自性

滑り止めとして切り込み加工を施す方法は、
発想としては比較的基本的で、工具グリップ対策としても
一般的な手法に分類されます。
特別に発想が困難な内容とは言えないため、
「よく似たタイプが多い改善」と評価します。
C(8点)


(3)改善の難易度

切り込みを入れるには多少の加工技術が必要ですが、
手工具や簡易機械でも対応可能と考えられ、
1時間以内で実施できる作業と想定されます。
B(12点)


(4)清潔レベル

一時的には効果が出ているものの、
切り込み部分が摩耗することで再び滑りやすくなったり、
汚れがたまって効果が落ちる可能性もあるため、
「何かのきっかけで再発する改善」と評価します。
C(8点)


(5)習慣(しつけ)レベル

滑り止め加工をしたことで使用はしやすくなっていますが、
他の同様のバイスにも加工を展開する仕組みや、
再加工・点検のルールまでは整っていないと考えられるため、
「徹底すべきルールを設定した改善」と評価します。
C(8点)


合計点数

12(成果) + 8(独自性) + 12(難易度) + 8(清潔) + 8(習慣) = 48点


5Sレベル:B(46~65点)


評価まとめ

今回の改善は、日々の不便さや安全リスクに対して
シンプルかつ効果的な手法で対処した良い事例です。
しかし、再発防止策や他への展開、維持管理の仕組み
まだ未整備な点があり、B評価に留まりました。


今後の改善ポイント

✅ 他のバイスや同様の工具にも展開可能か検討する
✅ 加工部分の摩耗や劣化に対する点検ルールを作成する
✅ 改善内容を標準化し、作業手順書等に反映する


この実用的な改善をきっかけに、
より「維持できる・誰でもできる仕組み」へと進化させていきましょう!
次の改善報告も楽しみにしています。

この記事を書いた専門家

 大手総合電機メーカーで20年間経験を積んで平成22年に独立。13年間で700社を超える中小企業支援、そして自らも小売業を立ち上げて業績を安定させた実績を持つ超現場主義者。小さなチームで短期的な経営課題を解決しながら、中長期的な人材育成を進める「プロジェクト型課題解決(小集団活動)」の推進支援が支持を集めている。

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