5S改善事例:備品棚の整理

【結果/効果】

(なにが)
棚の中
(どうなった)
いらない物を処分した。

【専門家コメント】

棚の中に不要な段ボール箱、緑色のバケツ、黄色のケースなどが置かれ、
スペースを占有していた状態だったのを、
必要性を見直し、不要な物品を全て処分することで、
棚内が完全に空き、新たなスペースを確保した改善ですね!

不要なものを徹底的に排除する「整理」の基本に忠実な改善で、
スペースの有効活用が可能になった点は大きなメリットです。
すっきりした状態を維持できれば、作業効率向上にもつながるでしょう。
ありがとうございました!

しかし、この改善は本当に長期間維持できるでしょうか?

例えば、

  • 時間が経つと、また不要なものが棚に置かれてしまうリスクは?
    → 「不要なものを置かない」ルールは定めているか?
  • 確保したスペースを今後どう活用するか決まっているか?
    → せっかく空けた棚が、また無駄なもの置き場にならないようにする工夫は?
  • 定期的に棚を点検し、不要なものが溜まらないようにする仕組みは?
    → 1ヶ月に1回のチェックなど、管理ルールを決める必要はないか?

「整理しただけ」では、時間が経つと元に戻ってしまうことが多いです。
「長期的に維持できる管理ルール」 を考え、
より高いレベルの職場環境改善を目指してください!

次の改善報告では、「維持・標準化の工夫」 にも踏み込んだ取り組みを期待しています!

目次

5Sレベルの評価

今回の改善を5Sレベル評価でチェックします。


(1)成果の大きさ

不要な物品を処分し、新たなスペースを確保したことで、
作業エリアがスッキリし、スペースの有効活用が可能になりました。
しかし、作業時間短縮や生産性向上への直接的な影響は限定的なため、
「成果がややもの足りない改善」と評価します。
C(8点)

(2)改善の独自性

不要物を処分するという改善は、5Sの「整理」の基本であり、
特に新しい発想や工夫が見られるわけではありません。
「誰でも思いつく改善」と評価します。
D(4点)

(3)改善の難易度

不要物を捨てる作業自体は簡単で、
特別な技術や時間を要するものではありません。
「数分でできた改善」と評価します。
D(4点)

(4)清潔レベル

一時的に棚が空いたとしても、
管理ルールがなければ、また不要なものが置かれる可能性があります。
「何かのきっかけで再発する改善」と評価します。
C(8点)

(5)習慣(しつけ)レベル

今回の報告には、不要物が再び増えないための具体的なルール設定が記載されていません。
例えば、「棚に置けるものを明確に決める」「定期的に点検する」といったルールがなければ、
すぐに元の状態に戻る可能性が高いです。
そのため、「習慣化を促さない単発的な改善」と評価します。
D(4点)


修正後の合計点数:

8(成果) + 4(独自性) + 4(難易度) + 8(清潔) + 4(習慣) = 28点

5Sレベル:D(30点以下)

今回の改善は、「やるべきことをやっただけの改善」 です。
不要物を処分し、棚をスッキリさせたことは良いですが、
維持・管理の仕組みがないと、すぐに元に戻るリスクが高い です。


「徹底すべきルールが設定された改善」にするには?

以下のようなルールを設定すれば、CレベルやBレベルの改善に引き上げられます。

不要物が再び増えないように、「棚に置いていいもの」を明確に決める
→ 例:「この棚には〇〇専用の道具のみ置く」など、使用ルールを表示する

定期的に不要物がないか点検する仕組みを作る
→ 例:「1ヶ月に1回、責任者が不要物をチェックする」などのルール化

今後のスペース活用方法を明確に決め、無駄な物置き場にならないようにする
→ 例:「このスペースは〇〇の一時保管用にする」と明確にする


せっかくの改善を「一時的なもの」で終わらせず、
「持続可能な管理の仕組み」 を取り入れることで、
より高いレベルの職場改善につなげていきましょう!

次回の改善報告では、「維持管理のルール作り」 にも踏み込んだ取り組みを期待しています!

この記事を書いた専門家

 大手総合電機メーカーで20年間経験を積んで平成22年に独立。13年間で700社を超える中小企業支援、そして自らも小売業を立ち上げて業績を安定させた実績を持つ超現場主義者。小さなチームで短期的な経営課題を解決しながら、中長期的な人材育成を進める「プロジェクト型課題解決(小集団活動)」の推進支援が支持を集めている。

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