5S改善事例:研磨時間短縮

【結果/効果】

(なにが)
取り外ししやすくなり落下することも
なくなった。
(どうなった)
1回 1秒 月4000台
月に1時間6分6秒の短縮

【専門家コメント】

小さなゲージ類が乱雑に置かれており
取り出しが困難で落下や紛失のリスクがあったのを、
クリップ式マグネットを活用して保管場所を設置し、
ワンタッチで取り外せるようにすることで、
月合計1時間6分6秒の作業時間が削減され、
落下や紛失のリスクも解消され、
作業の安全性も向上させた改善ですね!

時間短縮だけでなく、安全性向上という観点も含まれており、
とても価値のある改善だと思います。
視点の鋭い取り組みをありがとうございました!

ただし、この改善が本当に長期間維持されるか? を考える必要があります。

例えば、

  • マグネットが劣化した場合の対策はあるか?
    → 磁力が弱まったときに交換する基準やチェックルールは?
  • 新しいゲージが追加された場合、どのように管理するのか?
    → 収納スペースが足りなくなる可能性は?
  • ゲージの種類ごとの識別はしやすいか?
    → 必要なものを素早く取れるように、ラベル表示などの工夫が必要では?

「とりあえず便利にした」ではなく、
「この仕組みを長期的に維持できるか?」 まで考えてみてください!

次回の改善報告では、「持続可能な仕組み作り」 に踏み込んだアイデアを期待しています!

目次

5Sレベル評価

今回の改善を、辛口で評価していきます。


(1)成果の大きさ

作業時間を 月合計1時間6分6秒 削減し、
さらに落下・紛失のリスクも解消された点は評価できます。
ただし、全体の生産性向上にどれほど影響があるかは限定的です。
「満足のいく成果である改善」と評価します。
B(12点)

(2)改善の独自性

マグネットを活用することで取り出しやすさを向上させた点は、
ある程度の工夫が見られますが、類似のアイデアは他にも多くあります。
「標準的に発想ができる改善」と評価します。
B(12点)

(3)改善の難易度

クリップ式マグネットを設置する作業自体は比較的簡単で、
特別な技術を必要としません。
時間も30分以内で完了できる可能性が高いため、
「そんなに時間をかけない改善」と評価します。
C(8点)

(4)清潔レベル

マグネットの劣化や、ゲージが増えたときの管理方法が不明瞭なため、
「このままでは維持が難しい可能性がある」改善と判断します。
「何かのきっかけで再発する改善」と評価します。
C(8点)

(5)習慣(しつけ)レベル

マグネット収納が標準化されず、
ルールが明確でなければ、
誰かが適当に戻してしまい、乱れる可能性があります。
「習慣化を促さない単発的な改善」と評価します。
D(4点)


合計点数:

12(成果) + 12(独自性) + 8(難易度) + 8(清潔) + 4(習慣) = 44点

5Sレベル:C(31~45点)

この改善は 「一時的には便利になるが、維持管理が課題となる改善」 です。
ゲージが増えたとき、マグネットが劣化したときにどうするか、
長期的な視点で考えなければ、改善効果が持続しない 可能性があります。

今後のステップアップのために考えるべきポイント
マグネットの劣化や破損をチェックするルール作り(定期点検の仕組み)
ゲージの種類や数に応じて収納を最適化できる管理方法の確立
誰でも分かる収納ルールを定め、標準化する(ラベルや置き方の統一)

「一時的に便利になった」だけで終わらせず、
「持続可能な改善」にする工夫 をぜひ考えてみてください!

次の改善報告では、「維持・継続の仕組み」 にも踏み込んだ取り組みを期待しています!

この記事を書いた専門家

 大手総合電機メーカーで20年間経験を積んで平成22年に独立。13年間で700社を超える中小企業支援、そして自らも小売業を立ち上げて業績を安定させた実績を持つ超現場主義者。小さなチームで短期的な経営課題を解決しながら、中長期的な人材育成を進める「プロジェクト型課題解決(小集団活動)」の推進支援が支持を集めている。

目次